理事長あいさつ

「創設者・理事長 蒲池眞澄が語る、カマチグループ これまでの歩みと伝統への想い」

理事長 蒲池眞澄

 下関カマチ病院を開院したときから「厚生省(当時)の政策を10年先取りして動かねば」と考えてきました。当時、救急対応していたのは当院ともう一つくらいしかなく、普通に治療をすれば助かる患者様が手遅れで亡くなっていました。国内で事故に遭えば、ベトナム戦争の戦場よりも死亡率が高かったのです。小倉に小文字病院を開院し、他の病院が受け付けない患者様を、うちの技術と医学知識で治療し、全体をレベルアップさせてきました。その結果、福岡、北九州の医療現場から「タライ回し」を無くしたのです。
 そして当時、私より15歳年下の若いセラピストが、救急の治療後すぐに適切なリハビリを行えば、回復が早い事を実例で示してくれました。彼が手術後の患者様にリハビリを施すと、予後が違いました。まだ早期のリハビリはいけないとされていた時代でしたが、リハビリは効くと思い、積極的に取り入れてきました。その結果、早期退院が可能となり、病床の回転率が上がるという好循環な結果になりました。回復期のリハビリテーションは、患者様が生きる希望を見出し、人間として生きるための尊厳を回復することが使命です。救急医療によって命を助け、退院後のQOLを高めるためにリハビリテーションを行い、できるだけ早く元気になって自宅や職場に復帰して頂く。それが結果として、日本を元気にしていくのです。

 病院の運営は、オーケストラの演奏によくたとえられます。ヴァイオリンやフルートなど実に32種類もの楽器が指揮者のタクトの元で最高の演奏を聴かせます。病院も医師だけでなく看護師や薬剤師、技師、訓練士、事務、厨房、清掃など全職種が責任を果たしてこそ全体のハーモニーが生まれ、最高の医療現場となります。私は今後も「手には技術、頭には知識、患者様には愛を」をテーマに、命を懸けて進みます。基本は救急救命です。当グループの中枢である24時間365日体制のER救急センターは十分に機能しています。救急はスピードが勝負です。救急車よりもヘリコプターで拠点病院に搬送し、ICUで治療を受けることで救命率は上がります。医療搬送用ヘリコプター「ホワイトバード」は医師や看護師、パイロットや整備士が患者様の生命を救うことを第一に、一丸となり救急時に備えています。

 「伝統は与えられるものにあらず 作るもの也」これは、私が心に留めている言葉です。こうしてグループが発展した土台には、基礎を築いた人物や出来事など歴史がありました。それらがあったから今があるのです。またその歴史に伝統という色づけを皆でしてきました。その伝統は、もっと良くしたいという思いから生まれたものです。もっと素晴らしい学校・病院にするために、毎日毎日の手、顔、心が伝統になると思っています。これからも良い伝統を作り続けていきたいと考えています。

 これまでもこれからも、人類の生命がある限り、カマチグループは医療界のプロ集団として邁進してまいります。